“ じっと嘆きながら見つめていたら、
 瓦礫の山が片付くのなら、どんなにか楽だろう。
 徹夜で語り合っていれば、
 行方不明の人たちが見つかるのなら、
 どれほどうれしいだろう。
 しかし、そんなことはあるはずもないわけで、
 じっと嘆きながら立ちすくんでいたら、
 状況は何も好転しない。
 おそらく悪くなっていくばかりだった。

 誰かが、具体的に、その場面を変えていかねばならない。
 人々がおろおろしている時、
 すでに、現場には自衛隊がいた。
 何をするべきかをわかっている人々が、
 黙々とそのすべきことを続けていた。

 ありがとう、と思った。助けられた、と思った。
 手をこまねいているばかりだった人々からの、
 自衛隊への「ありがとう」のことばは、
 働いている隊員たちの背中にかけられた。

 彼らは、忙しくやるべきことをしていたので、
 お礼や応援のことばに、振り向くことさえしなかった。
 黙って、手を足を頭を、そして心を使っていた。
 
 たまに写真で見る隊員たちの表情は、
 若くて、しっかりしているけれど、
 幼さも残っているようにも見えた。
 誰かの息子であったり、誰かの夫であったり、
 だれかのおとうさんであったりする若い人たちは、
 被災の現場の人たちだけでなく、
 離れた場所でじぶんの無力と共にある
 ぼくらの心までも救ってくれたのだった。
 
 長い間、ずっと背中に向けて言うしかなかった
 心からのありがとうを、
 この場で、向き合って言えることを、
 ほんとうにうれしく思っています。
 言うことは、ただそれだけです。
 ほんとうに、ありがとう。

今日のダーリン - 今日のダーリン - 2011-05-29

自衛隊の人たちが読むフリーペーパーに、
糸井さんが寄稿した文章

(via nnddmmii)

Notes

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